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見えない泡が世界を変える

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株式会社ウォーターデザイン(ハロペUFB製造元)

取締役 芝塚全功 Masahiro Shibazuka

インタビューの経緯

ハロペUFBの生みの親で株式会社ウォーターデザイン取締役の芝塚全功さんに、ウルトラファインバブルのメカニズムと、特許を取得したハロペUFBの最先端技術について、お話しを伺いました。

 

ウイルス並みの極小サイズの泡が汚れを“剥離”する

— ウルトラファインバブルとは一言で言うと、どのようなものですか?

ウルトラファインバブルというのは単なる泡ですね。ただ、目に見えないぐらいの小さな泡だ、というのが特徴です。

普通の泡以外に小さな泡としてはマイクロバブルというものがありますけれども、その約1000分の1の大きさなんです。

ですから、ちょうどウイルスぐらいの大きさになりますね。

— ウルトラファインバブルには従来の水の泡やマイクロバブルとは異なる効果があると聞いていますが、実際のところは?

正直言うと「よくわかっていない。今、研究中」というのが(学会・産業界での)本当のところなんですけれども、いろんな働きが言われております。

 

ひとつは、洗浄効果が非常に高いとか、あるいは保湿効果が非常に高いとか言われているんですけれども、なかなかその作用機序(※作用をもたらすメカニズム)そのものを解明することはできていない、というのが現状だと思います。

 

ただ、洗浄ひとつ取りましても、普通はけっして剥がすことのできないバイオフィルム(※微生物が作り出す膜)を水の力で剥離させる。あるいは、もっと固い尿石のようなものも剥離させていく。そういう“剥離の機能”を持っている泡というのは、非常に面白い存在だと思います。

 

 

毛穴の奥まで入り込むのは、ウルトラファインバブルだけ

— 従来のマイクロバブルではあり得ない、ウルトラファインバブルならではの長所をお聞かせください。

マイクロバブルでは大体、泡の大きさが1000ナノ=1ミクロン程度の大きさです。

人間の皮膚、あるいは毛穴というのは、大体1ミクロン以下の直径です。そこに毛が生えていたり、汗腺があって汗が出たりするわけなんです。

 

従来のマイクロバブルでは、人間の汗腺あるいは皮膚の穴の周辺までは行きますけれども、中に入り込むのは基本的に不可能です。

一方、ウルトラファインバブルでは、毛穴の中にも影響を及ぼして、汚れを剥離させていく、というような機能が見受けられます。これはマイクロバブルでは不可能だということです。

 

あと、汚れを取ることの他に、当社のノズル方式ですと–うまいこと言いづらいのですけれども–水が非常に“やわらかく”なります。

水を形成するクラスターが非常に小さくなる–非常に言いやすい言い方ですが–そのような感じになります。

今まで味わったことのない“やわらかな水質感”が味わえると思います。

 

また水そのものが非常に細かいために、髪の毛のキューティクルの中から内部へ入っていきます。

頭を洗ってから数分たってドライヤーで乾かした後、(洗髪前と)比べますと約2倍の水分が髪の中に入っております。

非常にしっとりとした毛質が得られると考えています。

 

ウルトラファインバブルには、気体を内部に溶かし込む性質がある

— もう一つ、従来のマイクロバブルとウルトラファインバブルでは、機能面にも違いがあるそうですね?

マイクロバブルは、泡自体が「目に見えて」なおかつ「浮かぶ」機能があります。

これは昔、排水処理で使っていた手法でして、マイクロバブルを汚い水の中に噴霧すると、泡が汚れに全部吸着して上に浮かばせてしまう–加圧浮上という排出処理方法なんですけれども–そういう汚れ落としの機能を持っています。

一方、ウルトラファインバブルの最大の特徴は「気体を溶かしてしまう能力」。そこがマイクロバブルと非常に大きな差だと思います。

— ウルトラファインバブルに気体を溶かすと、新たな特性が加わるのでしょうか?

それは溶かすガスによって違ってきます。

しかし、どんなガスを溶かす場合でも、大きな動力を必要とせずにボンベのガス圧のみによって溶かし得る。加圧の必要がないんです。これは実用上、大変に優れた点だと思います。

 

動力不要で炭酸ガスを丸ごと水に溶かす。経済性は抜群です

— ハロペUFBはウルトラファインバブルに炭酸ガスを溶かし込んでいますが、特にポンプで圧力を掛けたりはしていません。

水にCo2を溶かす方法というのは、いろいろあります。半透膜で溶かす方法、あるいは強制的に動力によって溶かす方法–さまざまあるんですけれど、ハロペUFBのように動力を使わない、水の流れだけで溶かし切ってしまうというものは、他には存在しないはずです。

— 従来のマイクロバブル発生装置は、圧力を掛けています。

 

炭酸ガスを混ぜるときに、従来の方法はかなり炭酸ガスに圧力をかけて混ぜる方式でした。ガス圧で言うと、約5~6キロの圧力をかけています。

ところが、ハロペUFBのノズル方式ですと無理がありませんので、水圧は約2キロぐらい。従来のマイクロバブル発生装置と比較すると、約3分の1の圧力で炭酸ガスを水に溶かすことができる。

しかも水道圧だけで溶かすので動力が不要です。非常に経済効率が良いことが証明されています。

— ハロペUFBは、炭酸ガスをムダ遣いしないとも聞きましたが?

従来のマイクロバブル発生装置に炭酸ガスを混ぜようとすると、かならず余剰なガスがブクブク出てきてしまいます。

この点、ハロペUFBは水に通した炭酸ガスのほぼ全量を瞬時に溶解さしてしまうんです。

ですから、水道の水圧で少量の炭酸ガスを入れるだけでも十分な炭酸濃度を得られます。炭酸ガスのムダ遣いがなく、ランニングコストが最小限に抑えられるのがメリットです。

 

また、ハロペUFBは水の流れだけで炭酸ガスを飽和レベルに持って行くことができます。

たとえば水温を40度にした場合、炭酸ガスの飽和は973ppmですが、ハロペUFBはそれを超えて過飽和レベル1100~1200ppmまで一気に溶かすことができます。しかも動力なしで。これは他の製品と比較して圧倒的に優れた点だと思います。

 

 

 

赤ちゃんの肌のpH値と同じ。理想の炭酸泉が簡単に作れる

— ハロペUFBで作ったウルトラファインバブル炭酸水は、動物や人間の肌にどんな影響を与えるのでしょうか?

炭酸ガスというのはみなさんご存じのように、冷たい水ほどよく溶ける。温かい水にはなかなか溶けないという性質のガスです。

ですから、先ほど申し上げた40度ぐらいのお湯には1100~1200ppmで過飽和状態になるわけですが、そのときのpH値は弱酸性、約pH4.5程度になります。

pH4.5という数値は、赤ちゃんの肌のpH値です。人間にとって、あるいは他の動物たちにとっても皮膚に良い数値だと言われています。

 

もうひとつ、炭酸水そのものの特徴として皮膚に触ると炭酸ガスが浸透する、という機能を持っています。

それによって皮膚から約3ミリぐらいまで浸透し、毛細血管のまわりにたくさんある神経に触れることによって、脳が、

「何か異物が入ってきた」

という判断をします。すると脳は呼吸器系に、

「その異物を排除せよ」

という指令を下します。

それによって毛細血管が異物を排除しようと広がり、結果的に血流が約3分間で約5~7倍になる、ということが報告されています。

— ということは、わずか3分間ほど炭酸水に浸ければ、ワンちゃん、ネコちゃんの血行促進につながるのでしょうか?

そういうことです。ただし人工炭酸泉の特徴として、あまり高い温度でペットを入れないほうが良いと思います。

それは、炭酸泉が温度によって血流を促進するものではないからです。

 

動物たちには–人間も同様ですけれども–不感温度というのが必ずあります。体温の前後1~2度ですね。人間で言うと36~39度ぐらいまで。この温度帯で人工炭酸泉に入りますと、熱くもなく冷たくもなく、気持ちよくストレスを与えずに血流が促進される、ということが言われているんです。

ペットの場合も、不感温度の範囲で入れてあげるのがよろしいのじゃないかと思っております。

 

 

 

外気を取り込まず、水中の空気だけで極小泡を作る–それが独自技術

— ハロペUFBはどうして特許を取得できたのですか?

独自開発のノズルがハロペUFBの本体の中に入っています。

このバルブが特許を取得しておりますけれども、何で取れたかという理由は、大きくは二つあります。

 

一つは、普通、こういうノズル形状にしますと、かならず水圧あるいは水量のダウン現象が見られます。

このロスを極限まで減らして水圧・水量の減衰がない構造にしたというのが、大きな特徴です。

 

もう一つ、通常、ウルトラファインバブルを製造する時にはかならず外気を入れます。

従来のマイクロバブル製造装置も外気を採り入れて、その外気を泡にします。

当社のノズルは外気を入れません。

液体の中に含まれている空気成分、これを湧出させて細かく砕くという構造・製造方法をしています。

その点が、まったく余所と違う点でございます。

 

ハロペUFBで作る、安全かつ安価な“究極の消毒剤”とは?

— じつはハロペUFBを使って“究極の消毒剤”を作れるそうですね?

はい。消毒剤には次亜塩素酸ソーダを使います。次亜塩素酸ソーダは、消毒剤・漂白剤としておなじみの液体、薬剤ですね。

ただ、この次亜塩素酸の性質として、使う水のpH値によって効き目がまったく違うということがわかっています。

pH値の大小によって、効き目がお椀を伏せたようなカーブを描きます。

 

たとえば希釈する水のpH値がpH8ぐらいですと、次亜塩素酸水で消毒してもその中で菌がウヨウヨ動いている。

ところが、効果が最高値になるpH4.5付近に持っていきますと、菌は瞬時にして死んでしまう。それほど希釈する水のpH値が重要になります。

ハロペUFBで作るウルトラファインバブル炭酸水は、ちょうどpH4.5レベルのpH値を提供できるんです。

 

 

これまでの消毒剤では、通常、何十、何百、何千ppmという次亜塩素酸を入れるわけなんですけれども、ハロペUFBなら、ほぼ30~50ppmの次亜塩素酸を加えていただくだけで、大変強力な消毒剤ができあがります。

 

従来、水のpH値を下げるためには、酢酸とか塩酸あるいは硫酸などの酸が使われてきました。

 

しかしながら、入れる量をちょっと間違えると、瞬時にpH1とかpH2に下がってしまいます。その途端に酸が時亜塩と混合して、ご存じのように毒ガスである塩素ガスが出てきます。非常に危険な作業です。

 

この点、ハロペUFBで作ったウルトラファインバブル炭酸水を使えば、pH値はpH4.5以上に上がったり、逆にpH4以下に下がったりすることが絶対にありませんので、とても安全です。

 

動物病院やペットホテル、トリミングサロンで、日常的に安全な消毒剤がごく簡単に作れてしまうんです。

 

バイ菌の細胞膜も最大3分間で徹底破壊するパワー

— バイ菌を殺すのにどれぐらいの時間がかかるのでしょう?

試験でわかったことですが、ウルトラファインバブル炭酸水で次亜塩素酸ソーダを希釈した消毒剤は、大腸菌や黄色ブドウ球菌、緑膿菌などに対して絶大な殺菌力を発揮します。

 

およそ1秒弱で細胞壁を破壊することがわかっています。

殺菌がいちばん難しいと言われている芽胞菌(がほうきん)に対しても、約3分間ぐらいで細胞壁を破壊するという結果が出ています。

非常に簡易な殺菌液が安全な方法で入手できるとお考えください。

–その殺菌剤は臭いませんか?

少量の次亜塩素酸を希釈して使うため、臭いはそれほどしません。これまでお使いの消毒剤と比べていただければ実感できると思います。

–安全性はどうでしょう?

ウルトラファインバブル炭酸水で希釈した次亜塩素酸の消毒剤は、有機物などの汚れに接してこれを殺菌消毒すると、その場で食塩と二酸化炭素に変わってしまいますので、たとえば耐性菌を作るとか、あるいは消毒成分がいつまでも残留するとか、そういう心配がまったくありません。

非常に有用です。ぜひ、ご活用ください。

株式会社ウォーターデザイン(ハロペUFB製造元)

取締役 芝塚全功 Masahiro Shibazuka

滋賀県彦根市生まれ。
1974年、三菱レイヨン(株)、入社。2002年、三菱レイヨン・エンジニアリング(株)、取締役に。2012年、同社を退社。同年、(株)ウォーターデザインを設立、取締役に就任。ウルトラファインバブル発生装置の開発・設計・製造に取り組む。